製品開発でのアイデア創出成功事例と、その方法について
はじめに
本ページでは、製品開発におけるアイデア創出について紹介します。アイデアを創出することは、製品開発において非常に重要な要素であり、このページを読むことで、アイデアを創出するための具体的な手法やアプローチを学ぶことができます。
アイデア創出の必要性
ハードウェア製品開発の皆さん、商品を開発するために必要なアイデア創出について、皆さんはどのように取り組んでいますか?
もし、今アイデア創出に対して不安を抱えているのであれば、その不安は決して無駄なものではありません。製品開発において、アイデア創出は非常に重要な工程の一つであり、アイデアを生み出すことができなければ、成功する商品を開発することはできません。
ここで、実際の事例を紹介します。ある製品開発のプロジェクトにおいて、開発チームが最初にアイデアを出した段階では、たった10個のアイデアしかなかったのです。しかし、その後、アイデア創出のプロセスを重ねることで、最終的には1,000個以上のアイデアが生まれ、その中から優れたアイデアを選び出すことができました。
このように、アイデア創出の重要性は言うまでもなく、成功する商品を開発するためには、アイデア創出のプロセスを効果的に行うことが必要不可欠です。では、具体的にどのようにアイデアを生み出すことができるのでしょうか?それについては、次の章で詳しく説明していきます。
アイデア創出のためのツール
アイデア創出には、ブレストストーミング、マインドマップ、シンクタンクなどのツールがあります。それぞれのツールについて、使い方や効果などを紹介します。
1. ブレストストーミング
「ブレストストーミング」とは、アイデアを自由に出し合うための手法の1つです。多くの場合、グループワークで行われ、フリースタイルでアイデアを出すことが推奨されています。ブレストストーミングは、アイデアを多数生み出すことができるため、アイデア創出に優れたツールとして大手企業でも多くの人が活用しています。
ただし、ブレストストーミングにもいくつかの課題が存在しています。例えば、熟練したファシリテーターがいない場合、会議がうまく進まないことがあるため、ファシリテーターの育成が必要です。また、議論が白熱しすぎて、意見が飛び交ってしまうこともあるため、ルールを明確にすることも重要です。以上の点を踏まえた上で、適切なファシリテーターを選定し、事前にルールを決めることで、ブレストストーミングがより効果的に行われることが期待できます。
参考情報
- 「ブレストストーミング」とは?そのメリットとデメリットをわかりやすく解説!:
- 大手企業でのブレストストーミング事例:
2. マインドマップ
マインドマップは、アイデア創出に役立つ手法のひとつです。脳の思考回路に近い構造でアイデアを整理することができ、複雑な問題をシンプルに表現することができます。企業では、製品開発のフェーズにおいても多くの場面で利用されています。
また、実際に製品開発の現場でも、マインドマップを利用してアイデア創出を行っている企業があります。マインドマップを使うことで、膨大な情報の中から重要なポイントを把握することができ、それに基づいて効率的なアイデア創出ができると言われています。
マインドマップは、フリーソフトも多数存在し、専用のアプリもあるため、手軽に利用することができます。ぜひ製品開発のフェーズにおいて、マインドマップを利用してアイデア創出に役立ててみてはいかがでしょうか。
MindMeister
オンラインで使用可能なマインドマップツールで、チームでの共同作業に適しています。プレゼンテーションやタスク管理の機能もあります。
- 利用料: 個人プランは月額4.99ドルから、ビジネスプランは月額12.49ドルから
- どんな人が利用しているか: プロジェクトマネージャーやチームリーダー、学生など
- ユーザー数: 2000万人以上
- 日本語のサポート: あり
Cacoo
マインドマップをはじめ、様々な図形やチャートを作成できるクラウドベースのツール。リアルタイムでの共同編集や、コラボレーションに特化した機能が充実している。
・利用料:フリープランあり。有料プランは月額6ドルから。
・どんな人が利用しているか:企業やビジネスパーソンを中心に利用している。
・ユーザー数:200万人以上 ・日本語のサポート:あり
Mindomo
利用料:Basic(無料), Premium(年間36ドル), Team(年間108ドル) 概要:オンラインで利用できるマインドマッピングツールで、複数のデバイスで同期することができます。グループでの作業にも対応しており、チームでのアイデア共有が可能です。
Coggle
利用料:Basic(無料), Awesome(年間60ドル) 概要:直感的なUIが特徴のクラウド型のマインドマッピングツールで、複数の人が同時に作業することができます。Googleドライブとの連携も可能で、作成したマインドマップを簡単に共有できます。
SimpleMind
利用料:Basic(無料), Personal(一度の購入で30ドル), Pro(一度の購入で90ドル) 概要:Windows、Mac、Android、iOSなどの多くのプラットフォームで利用できるマインドマッピングツールです。手書きのようなインク機能を備えており、自由度の高いマインドマップの作成が可能です。
マインドマップを導入している企業
3. シンクタンク
チェックシートは、アイデアの評価を行うための手法です。あらかじめ決められた項目を基に評価を行うため、客観的な評価ができます。例えば、自動車メーカーのトヨタでは、製品開発にチェックシートを導入することで、製品の品質を大幅に向上させました。
以上のように、アイデア創出には様々なツールがあります。それぞれのツールにはメリット・デメリットがあるため、適切なツールを選択することが重要です。
アイデア創出のためのアプローチ
製品開発プロジェクトでは、アイデア創出が重要ですが、いざやってみると難しいものです。適切なアプローチが必要になります。成功するためのアプローチを紹介します。
TRIZ:問題を解決するための39の原則
TRIZは、発明の理論として知られています。TRIZを使うと、問題を解決するための39の原則があり、それぞれの原則に従って問題を解決することができます。例えば、問題がある場合、それを逆に考えることで問題解決のアイデアを導くことができます。TRIZは、日本の企業でも広く使われています。三菱電機は、TRIZを使って、新製品の開発期間を1年短縮することができました。
参考文献
- 田中泰造「TRIZ入門―発明の理論と問題解決の技法」翔泳社, 2004.
- 『トリズの世界へ イノベーションの創造的思考法』エヌ・ティー・エス, 2018.
- 『3万円から始めるTRIZ入門 誰でも使える問題解決の原理』主婦の友社, 2019.
アサーションメソッド:前提条件を設定し、そこから帰納的にアイデアを導く手法
アサーションメソッドは、前提条件を設定し、そこから帰納的にアイデアを導く手法です。前提条件を設定することで、問題点を明確化することができます。そして、その前提条件を変えることで、新しいアイデアを導くことができます。
アイデア創出における注意点
アイデア創出の失敗例と教訓
アイデア創出に取り組む際には、注意点があります。まず、アイデアを出しすぎないことが重要です。過剰なアイデア出しは、実現不可能なアイデアや、本質的な問題を回避してしまうアイデアが出てしまうことがあります。適切な量のアイデアを出すためには、明確な目的や問題設定を行い、その上でアイデア出しのルールを設けることが効果的です。
アイデアを選定するときのポイント
また、アイデア出しの過程で、グループの中で意見が一致してしまう現象が起こることがあります。これは、グループの中で意見を共有し合い、自分たちの考え方を補完しあってしまうことが原因です。このような場合、新たな視点を得るために、外部の専門家を交えることが有効です。外部の専門家は、グループ内ではなかなか見つけられなかった切り口やアイデアを提供してくれることがあります。
アイデアの妥当性を判断する方法
さらに、アイデア創出の過程で、先入観や既成概念にとらわれてしまうことがあります。これは、過去の成功体験や失敗体験が、新しいアイデアを作る上で邪魔をすることがあるからです。これを回避するためには、新しいアイデアを試行し、失敗を恐れずに挑戦することが重要です。また、アイデアを出す人を増やすことも大切です。多様なバックグラウンドや視点を持つ人が集まることで、より多くのアイデアが出され、新しい発想が生まれることがあります。
以上のような点に注意しながら、アイデア創出に取り組むことが重要です。
成功事例
LEGO社のアイデアスケッチの集約
LEGO社は、自社の製品開発においてアイデアスケッチの集約を行うことで成功を収めています。同社では、社員全員がアイデアを出しやすい環境を作るため、ボックスを置いて自由にアイデアを出せる場所を作っています。その中で、社員のアイデアをスケッチブックに集約し、重要なアイデアを見つけ出すことで、新たな製品の開発につながっています。このアイデアスケッチの集約により、新製品「LEGO BOOST」が生み出され、大きな成功を収めました。
参考文献
- “LEGO and the art of innovation” by David C. Robertson and Bill Breen, Crown Business, 2001.
- “The LEGO Story: How It All Started” by LEGO Group, accessed on February 21, 2023, https://www.lego.com/en-us/aboutus/lego-group/the-lego-story/
3M社の「15%ルール」
3M社は、「15%ルール」と呼ばれる、社員の時間の15%を自由なアイデアの創出に充てる制度を導入しました。この制度により、社員は自分たちの興味や関心を持つ分野でアイデアを出し、その中で成功するものを商品化することができました。この制度によって生まれた「Post-it」は、3M社の代表的な商品の一つとなっています。
参考文献
- “Innovation at 3M Corp. (A)” by Stefan Thomke and Ashok Nimgade, Harvard Business School, 2000.
- “Post-it Note Creator Spencer Silver Reflects on His Invention’s 40th Anniversary” by Maureen A. O’Hagan, Smithsonian Magazine, 2017, accessed on February 21, 2023, https://www.smithsonianmag.com/innovation/post-it-note-creator-spencer-silver-reflects-inventions-40th-anniversary-180964387/
トヨタ自動車の「アンドンコード」
トヨタ自動車は、生産ラインにおいて、不具合があった場合に簡単に知らせるための「アンドンコード」というものを開発しました。これは、生産ラインに赤、黄、青の信号灯を設置し、不具合があった場合に赤い信号灯を点灯させることで、すぐに対応することができるようになります。このアイデアによって、生産ラインの停止時間が短縮され、トヨタ自動車は生産効率の向上につながったといわれています。
参考文献
- トヨタ生産方式。大野耐一著「大規模生産を超えて」生産性出版、1988年。
- 「トヨタ式A3プロセスで仕事改革―A3用紙1枚で人を育て、組織を動かす」ジョン シュック (著), John Shook (原名), 成沢 俊子 (翻訳)、2009/12/31、https://sloanreview.mit.edu/article/toyotas-secret-the-a3-report/