購買決定や消費者の行動について研究をしている心理学者

本ページでは、購買意欲や消費者の行動に関する研究を行っている心理学者や学者を紹介しています。

彼らの研究は、企業やマーケティング担当者が消費者の関心を引き、説得するための、より効果的な戦略を生み出すのに役立っています。

ロバート・B. チャルディーニ:社会心理学者

名前: ロバート・B. チャルディーニ(Robert Cialdini)
生年月日:1945年4月27日

ロバート・B. チャルディーニ(Robert Cialdini)は著書『Influence: The Psychology of Persuasion(影響)』の中で、人の意思決定や行動に影響を与えることができる説得の6つの主要な原則を概説しています。

互恵性の原則(お返し)

互恵性とは、自分に何かをしてくれた相手に対して義務感や恩義を感じる社会的規範のことです。人は要求者に対して何か借りがあると感じると、要求に応じる可能性が高くなるというものです。例えば、あなたが誰かに小さな贈り物や好意を示した場合、その人はお返しにあなたを助ける義務があると感じる可能性が高くなります。

互恵性の原則の事例

希少性の原理(限定商品)

人は希少であったり入手可能性が限られていたりするものにより価値を見出すことを示唆しています。たとえば、ある製品やサービスが期間限定または数量限定で提供されていることを伝えると、人はそれを手に入れるために素早く行動する可能性が高くなります。

希少性の原理の例

権威の原理

権威の原理は、ある人物や組織が高い地位や専門知識を持っている場合、その人物や組織が提示する情報や意見に人々がより影響を受けるという原理です。

権威の原理の事例

一貫性の原則

人々がこれまでの信念、態度、または行動と一致する要求に従う可能性が高いことを示唆しています。例えば、小さな要求に同意させることができれば、後に大きな要求に応じる可能性が高くなります。

一貫性の原則の事例

好意の原理

人は好きな人や自分と似た人、好意的な態度や行動に対して要求に応じやすいことを示唆しています。例えば、販売員が親切で人柄が良く、共通の趣味を持っていると感じた場合、その製品やサービスを購入する可能性が高くなります。

好意の原理の例

社会的証明の原理

人々は他の人が同じことをしているのを見ると、要求に応じる可能性が高くなることを示唆している。例えば、新しいレストランに行ったり、特定のイベントに参加したりする場合、そのレストランが人気があったり、評判が良かったりすると、人はそのレストランを利用する可能性が高くなります。

ダン・アリエリー:行動経済学者

名前:ダン・アリエリー(Dan Ariely)
生年月日:1967年4月29日
「Predictably Irrational」の著者

ダン・アリエリー(Dan Ariely)「Predictably Irrational」の著者。行動経済学や心理学において、人々が意思決定において認知バイアスに影響を受けるという考え方を提唱しています。

認知バイアスとは、人々が現実を認識する上で、自分自身の経験や知識、感情などに影響を受けて判断を誤る傾向があることを指します。例えば、ある商品の値段が高いと感じた場合、その商品が本当に高いのかどうかを客観的に判断することができず、自分の主観に基づいて判断を下してしまうことがあります。

ダン・アリエリーは、認知バイアスを利用して、人々の行動を変えることができると主張しています。例えば、人々が自分自身の決定に自信を持っている場合、その自信を利用して、人々の決定を変えることができると考えています。また、人々が過去の経験に基づいて判断を下す傾向があることを利用して、人々の行動を変えることができるとも主張しています。

認知バイアスは、人々が意思決定をする上で避けることができないものであり、それを利用することで、人々の行動を変えることができるという考え方が、現在では行動経済学やマーケティングや広告などで注目されています。商品やサービスを販売する際には、これらの認知バイアスに影響を与えるような戦略を用いることで、消費者の行動や意思決定を促すことができます。

認知バイアスの事例:購買編

シーナ・アイエンガー: 社会心理学者

名前:シーナ・アイエンガー(Sheena S. Iyengar)
生年月日: 1969年11月29日 (年齢 53歳)

シーナ・アイエンガー著書の「The Art of Choosing」の中で、選択に関する心理学的な要因について論じています。

選択は日常生活において不可避なものであり、その選択が人生や幸福感に大きな影響を与えることがあるため、私たちがどのように選択を行うのかについて理解することが重要だとされています。アイエンガー博士は、自由な選択の背後には社会文化的、生物学的、および個人的な要因があることを示し、私たちがどのように選択をするのかについて深く洞察を与えてくれる書籍です。

選択に関する心理学的要因例

リチャード・H・セイラー:ノーベル経済学賞受賞者

名前:リチャード・H・セイラー(Richard H. Thaler)
生年月日:1945年9月12日

リチャード・H・セイラー(Richard H. Thaler)は、アメリカ合衆国の経済学者であり、行動経済学の分野で重要な貢献をしています。「ナッジ」の著者。環境における小さな変化が人々の意思決定に影響を与える方法を探求した著書「ナッジ:健康、富、幸福についての意思決定の改善」の著者。

彼は1945年9月12日にニュージャージー州イーストオレンジで生まれ、ケイマン諸島出身の両親のもとで育ちました。彼は1974年にケイマン諸島の大学であるロイヤル・レオンドルド・インスティチュートで学士号を取得し、1978年にロチェスター大学で博士号を取得しました。

彼は、行動経済学において、人々がどのように意思決定を行い、どのような行動をとるかについて研究しました。彼は、人々が合理的な行動をとらないことがあることを認め、それを経済学に取り入れることで、より現実的な経済モデルを作り出すことができると主張しました。

彼は、2008年には、ダニエル・カーネマンとの共著『Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness』で、行動経済学の基本概念について説明し、政策決定者が人々の行動を導く方法について提案しています。また、彼は2017年には、この研究によりノーベル経済学賞を受賞しました。

現在は、シカゴ大学のブース・スクール・オブ・ビジネスで教鞭をとっており、同大学のセンター・フォー・デシジョン・リサーチ・アンド・ビヘイビアル・エコノミクスのディレクターを務めています。

メンタル・アカウンティングの提唱

彼は、人々がお金をどのように使うかについて研究し、メンタル・アカウンティングという概念を提唱しました。これは、人々がお金を稼いでいる場所や使う目的によって、お金の扱い方が異なることを指します。例えば、同じ金額でも異なる目的に使う場合には、人々の心理的な価値感が異なることが知られています。以下に、メンタル・アカウンティングの事例をいくつか挙げてみます。

逆説的な選択肢が人々の判断に与える影響の研究

彼はまた、逆説的な選択肢が人々の判断に与える影響について研究を行いました。例えば、人々がある製品を購入するかどうかを判断する際に、同じ製品の安い版があると、高価な版を選ぶことが多くなることを指摘しました。

セイラーが行った逆説的な選択肢の実験

セイラーが行った研究から、選択肢が多い場合、人々は決定するのが難しくなり、逆に選択肢が少ない場合、決定しやすくなることが分かりました。また、金利や手数料などの表記方法によって、人々の判断に影響を与えることが分かりました。このような研究結果は、マーケティングや政策決定に活用されています。

ニュージェント(Nudge)理論の提唱

彼は、政策決定者が人々の行動を導く方法についても研究し、ニュージェント(Nudge)理論を提唱しました。これは、人々が自由意志で選択することを尊重しつつ、政策によって人々が望ましい行動を取るように促す方法を示したものです。

この理論による政策は、人々を強制するわけではなく、ソフトな手法で人々の行動を変えることを目的としています。例えば、人々が環境に優しい生活をするように促すために、リサイクルボックスをより目立つ場所に置いたり、エコバッグを使用することを奨励するキャンペーンを行ったりすることが挙げられます。

また、ニュージェントは、ビヘイビアル・エコノミクスの分野で重要な位置を占めており、人々の行動を理解することで、政策によってより効果的な変化をもたらすことができるとされています。ニュージェント理論は、世界中の政策決定者によって採用され、社会に良い影響を与えているとされています。

ポートフォリオ選択における限界効用の研究

彼はまた、投資家のポートフォリオ選択における限界効用の研究を行いました。この研究により、人々がどのようにリスクとリターンをバランスさせるかを理解することができ、ポートフォリオ選択のより良いアドバイスを提供することができるようになりました。

セイラーは、ポートフォリオの構成について、個々の資産が投資家に与える限界効用の観点から分析しました。限界効用とは、投資家が資産を所有することによって得られる満足度の増加量を示すものであり、これが投資家が資産の所有を望むかどうかを決定するための基準となります。

セイラーの研究により、投資家はリスクを減らすために、異なる種類の資産を保有する必要があることが分かりました。例えば、株式、債券、不動産などの資産をバランス良く保有することで、リスクを分散し、リターンを最大化することができます。

また、セイラーは、投資家が異なる期間において異なる限界効用を持っていることを示しました。長期的な投資においては、安定したリターンが期待できる低リスクの資産を保有することで、投資家の限界効用が最大化されることが分かりました。

このような研究結果は、投資家がポートフォリオを構成する際の参考になり、リスク管理やリターン最大化のために役立てられています。

ポートフォリオ選択を購買意欲向上に活かす方法

津田秀夫:東京大学名誉教授

マーケティング分野での研究に多くの業績を残しています。彼は消費者行動に関する研究に長年取り組んでおり、特に、商品選択の決定要因や消費者の購買行動について多くの研究を行っています。

津田秀夫は、日本のマーケティング学者であり、商品選択の決定要因や消費者の購買行動についての研究を行いました。津田秀夫による研究結果によると、消費者の商品選択の決定要因には、以下の4つが挙げられます。

消費者の商品選択の決定要因

消費者のニーズや欲求

消費者は、自分自身のニーズや欲求に合わせた商品を選択する傾向があります。例えば、健康志向の消費者は、健康に良いとされる商品を選ぶ傾向があります。

商品の機能や品質

消費者は、商品の機能や品質に基づいて商品を選択する傾向があります。例えば、カメラを購入する場合には、画質や撮影機能などが重要な選択要因となります。

ブランドイメージ

消費者は、ブランドイメージに基づいて商品を選択する傾向があります。例えば、高級感のあるブランド商品は、消費者の好みに合わせた商品を提供することで、購買意欲を高めることができます。

購入のコスト

消費者は、商品の価格や購入に必要なコストに基づいて商品を選択する傾向があります。価格や購入に必要な手続きの煩雑さが消費者の購買意欲に影響することがあります。

消費者の購買行動で影響を受ける要因

また、津田秀夫による研究結果によると、消費者の購買行動は、以下のような要因に影響を受けることが明らかになっています。

社会的な要因

消費者が属する社会的グループ、地域、文化的背景、倫理観、価値観などが、購買行動に影響を与えることがあります。

商品やサービスの要因

商品の価格、品質、機能、デザインなどが、消費者の購買行動に影響を与えることがあります。

マーケティングの要因

広告、販売促進、ブランドイメージ、販売チャネルなど、マーケティング活動が消費者の購買行動に影響を与えることがあります。

環境的な要因

消費者が購買行動を行う場所や時間、気候、季節、その他の環境要因が、購買行動に影響を与えることがあります。

大石眞:東京大学大学院経済学研究科教授

消費者心理学や行動経済学などの分野での研究を行っています。彼は、消費者が商品を選ぶ際の意思決定プロセスや、価格と価値の関係、マーケティングキャンペーンの影響などについての研究で知られています。

佐々木英之:一橋大学大学院商学研究科の教授

消費者行動やマーケティングの研究を行っています。彼は、商品やサービスのブランディング、消費者の情報処理や意思決定に関する研究に取り組んでいます。

小野寺昭:神戸大学の教授

消費者行動やマーケティング戦略に関する研究を行っています。彼は、消費者が商品を選ぶ際の意思決定プロセスや、商品の価値評価、マーケティング戦略の評価などについての研究で知られています。

この記事を書いた人

やまさん

大手某メーカーにてWEBデザイナー、プログラマー、ディレクション件プロデューサーを経て株式会社LONTに21年12月入社。オリジナル製品を製造販売した経験を活かし、ものづくりのサポーターとして主にバックオフィス全般を担当しています。